うつ病の症状について
何回も出てきていますが、DSM−IV−TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、うつ病の主要症状として次の2つが挙げられています。
1)「抑うつ気分」
2)「興味・喜びの喪失」
の2つです。
1番目に挙がっている「抑うつ気分」というのは、気分が落ち込み、何をしても心が晴れない嫌な気分を言います。
また悲しみや空虚感などもさします。「抑うつ気分」によく似た症状として、「自殺念慮・希死念慮」や、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」があります。
これらの症状をまとめると、
「気分が落ち込んで嫌な毎日が続き、自分には存在している価値などなく、死にたいと思う」
という訴えとなります。
一方、2番目の「興味・喜びの喪失」とは、発病前までは楽しむことができていたことに楽しみを見出すことができなくなってしまう、感情が麻痺した状態をいいます。
例えば、今まで仕事をさしおいても出かけていた趣味の海外旅行に、全く興味がなくなったなどを指します。
「興味・喜びの喪失」に似た症状には、「集中力・思考力・決断力の低下」や「気分の低下と易疲労性」という状態があります。
これらの症状をまとめますと、
「何をしても面白くなく、物事にとりかかる気力がなくなり、何もしていないのに疲れてしまい、考えがまとまらず小さな物事さえも決断できない(ひどい場合は、トイレに行くかどうかで迷ってしまいます)」
という訴えになります。
うつ病と診断されるためには、これら2つの主要症状のうち、どちらかが見られることが必須とされます。また、これらの主要症状、および症状グループといった精神症状に加えて、
「身体的な症状」
もあります。睡眠、食欲、体重、身体的活動性の4つの領域において、顕著な減少または増加が生じるというものです。