音楽療法とは？
うつ病の治療法としては、効果が確認されているものとして「電気けいれん療法」や「薬物療法」、「認知行動療法」が主体となりますが、その他にも、限定的に行われたり、実験的に行われているものとして、強い光を浴びる「光療法」、睡眠を断つ「断眠療法」や、運動をすることによってストレス発散を目指す「運動療法」および、音楽を聴いたり自分で演奏したりすることによる効果を応用する「音楽療法」があります。
最後の「音楽療法」は、音楽の心理的・生理的・社会的効果をうつ病治療に応用することで心身の健康を快復させるとともに向上を目指すという「医療行為」としてとらえる立場がある一方、「現代西洋医学領域において、科学的な未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」として定義されている、「補完医療」、あるいは「代替医療」とする見解もあります。
ただし、バリー・キャシレスは、「音楽療法はすでに立証済みの補完療法であり、数多くの病状や問題に効果を上げてきている。治療力はなく、重大疾患の治療法として、いくつかの補完療法のように勧められることもない。だが、音楽療法は、優れた補完医療法の例と同じく、幸福感や生活の質（QOL）を高め、症状を軽減し、初期治療やリハビリテーションの効果を高めてくれる」(『代替医療ガイドブック』春秋社p402)と述べています。
このような「音楽療法」の歴史はかなり古く、創成期においては宗教とほぼ同時期に生まれ、儀式や呪術に用いられいました。人の精神を鼓舞し、トランス状態（興奮状態）を引き起こすのです。うつ病に対する治療効果も古くから認められていて、旧約聖書「サムエル記」には、サウルのうつ病をダビデが竪琴で治したという記述があります。
現在は、引きこもり児童のケアや高齢者ケアに用いられます。この治療法に関連する資格として、日本音楽療法学認定の音楽療法士という資格もあります。