仮面うつ病とは?躁うつ病って?

生物学的仮説とは?



なぜうつ病を発症するのか、という成因論については、前の記事のように性格的なものなど、いくつかの仮説が挙げられています。

そのなかで、MRIなどでの脳などの画像診断の進歩に伴い、近年話題となっているのが、うつ病の生物学的仮説のなかの神経損傷仮説です。

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その中でも特に注目されているのが海馬です。脳の部位の一部である海馬というのは、海馬体と呼ばれることもあります。タツノオトシゴ(海馬)に似た形をしていることからこのように呼ばれています。
そもそも記憶は、

●感覚記憶
●短期記憶
●長期記憶

の3つに大きく分類され(スクワイアの記憶分類モデル)、海馬はこの短期記憶をつかさどると大変重要な部分です。うつ病では、脳の海馬領域において神経が損傷しているのではないか、という仮説です。そしてこの海馬の神経損傷の基盤には遺伝子レベルでの問題が存在するといわれています。

その他にも、海馬の神経損傷の原因として心的外傷体験をあげる仮説もあります。これは、人が小さい頃の心的外傷体験をもつ症例で海馬の神経損傷が確認できるという研究結果から導かれたものです。そして、その損傷がうつ病発症の基となっているとする仮説です。

しかし、実際、成因論というのは学問的・学術的には関心があるでしょうが、実際の患者さんとの臨床の場における有用性には限界があります。

現実には、なぜうつ病になったのか、という原因も大事ですが、それよりも、どうしたらその状態を改善できるのか、またはどのようにしてその状態とこれからつきあっていったらいいのか、ということについて考えるべきではないかという意見もあります。


実際の患者さんの事を考えると、今できることを模索していくことが大切といえるかも知れまません。


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