仮面うつ病とは?躁うつ病って?

箱庭による自己表現について



12歳未満の児童期〜12歳から17歳の思春期におけるうつ病の治療法として、最近特に薬物療法と並んで注目視されているのが、箱庭療法と遊戯療法です。

そもそも箱庭療法は、うつ病体験を言語化(言葉にして表現)することが困難、あるいは幼いなど、発達段階によっては全く不可能な子どもを対象としたものでした。

しかし、現在では成人の精神病治療にも広く活用されています。人は自分の考えや気持ち、状況を言葉で十分に表現することが難しい場合があります。

ましてや子どもたちの場合は言語表現が未発達ですし、言葉である程度表現できると思われている大人といえども、無意識の世界(意識)は心の奥底に存在していて、自分でも気づいていないことがよくあるのです。

そのため、言葉以外の方法、たとえば箱庭、絵画、遊戯、粘土、などの非言語的作業を通してそのような無意識の世界を表現することが重要とされており、また治療効果が期待されているのです。

非言語的自己表現を主とする日本においてはなおさら、表現療法としての箱庭療法は価値が重要であるのではないでしょうか。

統合失調症の治療で著名な精神科医である中井久夫は、日本独自の風景構成法を考案したことで有名です。

彼は、日本に箱庭療法を紹介した河合隼雄の発表を聞き、そこで箱庭に用いられている枠に着目しました。箱庭療法に用いられているのは、縦57cm×横72cm×高さ7cmの箱です。中井は他の二つではなく、この高さ7cmの枠があることの重要性に注目したのです。

箱庭には無限の空間があるわけではなく「枠」で仕切られた限られた空間であるがゆえに、患者は自己表現が可能であり、だからこそ治療効果があるとしたのです。


中井の風景構成法とは、紙の縁を枠と考え、治療者が枠を手書きで紙の渕に描くというもので、彼はこの方法の「枠付け法」に箱庭療法を応用したのです。


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