治療の選択には何があるのでしょうか?
かつてうつ病の治療といえば、電気けいれん療法のみがその効果が証明されており、それ以外の治療法がありませんでした。しかし現代の医療では、さまざまな治療法が確立されつつあります。
以下に主な治療法の種類と解説をしていきます。
電気けいれん療法(ECT)
電気けいれん療法とは、頭皮の上から電流を流し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行う方法です。
近年、薬物療法が発展し、その効果が認められつつありますが、薬物療法の場合、その効果が現れるまでに1週間〜3週間ほど服用を継続的に行う必要があります。
また、実際に薬物を飲み続けても効果が認められない場合もあります。そのように薬物の効果がない場合や、自殺の危険が切迫している場合(要するに、せっぱ詰まっている状態)などには、即効性のある電気けいれん療法が行われることになります。電気治療というと、怖いと思われるかもしれませんが、実は有効性・安全性ともに高い治療法であることから、保険診療でも認められています。
経頭蓋磁気刺激(TMS)
経頭蓋磁気刺激とは、磁気パルスを頭の外側から当てることで脳内に局所的な電流を生じさせ、脳機能の活性化を促す治療法です。しかし、残念ながら保険は適用外です。
薬物療法
最近では、かなり一般的に使われるようになった療法です。臨床的に、抗うつ薬の有効性はうつ病に対して科学的に実証されています。ただし、即効的ではないことから、1週間〜3週間ほど服用し続けることが必要となります。
認知行動療法
認知行動療法というのは、自分の内的なものではなく、外界の環境をどのように認識するかによって感情や気分をコントロールしようという治療法です。抑うつ的な気分の背後にある認知のゆがみを自覚し、それを是正することを目的としています。
精神療法
いわゆる「カウンセリング」になります。もちろん薬物や、電気治療は行いません。
そのほか、限定的に行われる治療法や実験的段階にあるものとして、
●断眠療法
●音楽療法
●運動療法
●光療法
などが行われます。